自然の理への正しい理解と、それをできるかぎり有効に活用する“あるべき物の形”を模索しつづけた20世紀の偉人、バックミンスター・フラー氏が、1933年に開発した3輪の自動車、ダイマクション・カーです。
リアにコンパクトに納めた85馬力のエンジンで前輪を駆動し、車体のほとんどをキャビンに割り当てるという、当時としてはあまりに革新的なこの自動車は、リアの一輪で操舵するため、大変小回りがききましたが、運転にはかなりの慣れを要したようです。
Photo: washed ashore
6.1mというかなり長い車体は、全部で11人もの乗客を乗せることが可能で、フラー氏によると190km/h(実際に記録された最高速度は140km/h)に達する高性能な車でした。
Photo: washed ashore
残念ながらダイマクション・カーは、1933年のシカゴ・ワールド・フェアで、付回す車を避けようとして発生した横転事故がきっかけで、出資者たちにステアリングの安定不足を指摘され、プロジェクトごとキャンセルされてしまったのです。
Photo: Popular Mechanics
レストアされたダイマクション・カー
デザインを担当した彫刻家のイサム・ノグチ氏によるスケールモデル。
完璧な水滴形のトップヴュー。こうした石膏製のスケールモデルを使って空力テストを繰り返し、形状を模索したそうです。
バックミンスター・フラー氏自ら色を塗ったのだそうです。
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Auction: Sotheby's
さまざまな風洞実験用モデル。
Pohoto: DYMAXION Passengers
Photo: artnet