閉じ込められたアーティストを路上に解き放て!

ミック・エベリング氏のアイウェア

かつて貴族階級に独占されていた芸術を、路上に解放した現代のストリート・アーティストたち。そのひとり、TEMPT氏は、不治の奇病ALSによって全身麻痺となり、7年前から活動を停止せざるを得なくなっていました。

そのことを知ったエベリング・グループ (The Ebeling Group)というNPOの創業者、ミック・エベリング氏は、専門家でもなんでもない有志たちとともに、既成概念に拘らない自由なアイデアと行動で、彼をふたたび路上へと解き放ったのです。

ミック・エベリング:閉じ込め症候群のアーティストを解き放った発明
Graffiti Research Lab


ALS(筋萎縮性側索硬化症)といえば、有名なホーキング博士の装置がおもいおこされますが、やはりあれはとてつもない大金持ちか、よほど気前のいい保険に入ってでもいない限り手の届く機械ではなかったようです。奇病ですから、大量生産による低価格という戦略が使えず、普通の企業にとっては開発に乗り出すメリットはありません。それにひょっとしたら治療薬もまた同じ呪縛に捉われているのかもしれません。

しかしそれはエベリング氏のようなマインドにとっては障害とはならなかったようです。

エベリング氏の装置は、どこでも手に入る材料でつくることができ、作り方やソフトウェアは無料でダウンロードすることができます。もちろんALSじゃない人も使うことができます。

彼らは専門家なんかじゃありません。でも一部の“呪われた専門家”と違って、少なく使って多く奪うという行動原則に縛られない、より自由でクリエイティブな行動をすることができたのだろうと思います。既存の価値観に捉われない人たち、ハッカーやアナキスト、クレイジーな陰謀論者などの“曲者”たちの創造力は、独占して隠して高く売りつけるというシステムを過去のものにしつつあるのかもしれません。

ふたたびストリートに戻ったTEMPT氏は今年4月、MOCA(ロサンゼルス現代美術館)で開かれているART IN THE STREETSにも参加されているようです。


あなたのアーティストはどこに閉じ込められているでしょうか?

If not now, then when? If not you, then who?
今じゃなければ、いつ? 自分じゃなければ、いったい誰が?

ミック・エベリング

2011/06/29 by Tate Slow
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