クリスマスはもともと冬至のお祭りでした。一年でいちばん暗い日。太陽がふたたび力を得て、明日から次第に日が伸びてゆくように願いを込めて、人々が祈った日です。
大地震、津波などの自然災害のみならず、社会もまた土台から揺らぎ始めた2011年。原子力発電所の大事故、独裁者たちの死、金融システムの瓦解、格差の拡大。既得権益を盾にこれまで以上に富を独占しようというわずかな人々がいる一方で、もはや市場というグリッドで役割を充てがわれなくなってしまった多くの人々は、ストリートに出てテントに住み、抗議活動を続けながら希望のない日々を送っています。私たちはこの暗い時代を乗り越えて、もう少しマシな社会をつくっていくことができるでしょうか。
そんな年の瀬ですら、富める商人たちは活気づきます。どう考えてもあまり必要でもなさそうなモノを売りつけようと、騒がしくあの手この手を弄してくるのです。テレビや新聞、ラジオで喧しく繰り返す昔ながらの方法はもちろん、今年はとくに、スパムフォローにリファラースパム、Youtubeの動画広告やUGCサイトでのステルスマーケティングなど、昨年までとはうってかわって膨大な広告費がネットに流れ込んできているように見えます。昨年末はクーポンサイトばかりがネット広告を席巻していたのが嘘のような充実ぶりです。
ただ今年は、そんな“話題の”ピカピカの新製品も、少しばかりくすんで見えるようです。
今まで薄々感じていた社会の不具合が一気に溢れ出し、あまりにも多くの人々が住む場所はおろか食べ物や飲み物ですらも儘(まま)ならなくなってしまった今年、これまでのようにただデパートの棚から選ぶのだけではなく、ちょっとだけエネルギーや大量消費について見つめ直せるような、ひと手間かけた小さな贈り物なんてどうでしょうか。といっても手編みのセーターではありません。
BrownDogGadgetsのジョシュア・ジマーマン氏による、1時間でできるアルトイズ缶入りソーラーiPhoneチャージャーです。
つくり方
時間: 30~60分
費用: $20以下
難易度: 簡単
Step 1 準備するもの
- 材料:
- iPhone用充電回路
- 電池ボックス 単3×2本用
- 充電式単3電池 2本
- 1N914 ダイオード
- 電圧4V以上のミニソーラーパネル
- ビニル電線
- 絶縁テープ
- オプション:
- アルトイズのブリキ缶
- 工具:
- はんだごて
- 無鉛はんだ
- ホットグルーガン
- ワイヤーストリッパー
- 保護メガネ
もし材料を自分で揃えるのが大変な場合は、こちらでキットを販売してるそうです。収益の12%以上が犬と猫のおもちゃになるとのこと。
Step 2 iPhone用充電回路
おそらく材料のなかでいちばん高く付きそうなのがこの充電用回路。市販の電池式iPhone充電器から拝借したもののようです。
今回の制作では、 ebayで見つけたiPhone用の乾電池式緊急補助充電器からパーツ取り外してきたんだ。似たようなものはそこらじゅうで見つけることができるよ。気をつけなきゃならないのは、iPhoneで使えるものを見つけるということ。
アップル社の最新iデバイスはUSB標準に従っていない。iデバイスを接続するとUSBのデータ・タブをチェックして、相手がどんな機器かわざわざ認識するんだ。何を見つけるかにもよるけど、これでいくぶん電力を消費する。それはそれで理にかなっちゃいるんだが、そんなことをするデバイスは他にはないんだよ。つまり一般の充電器は、データ・タブに電力を供給するようにはなっていないということなんだ。
とにかく大事なのは、自分のiPhoneで使えるものを見つけるということ。もし古いiPhoneやiPodなら心配ない。
もしこの回路も自作したいのなら、ここに詳しい説明(英語)が載っている。
Step 3 電池
どういうわけか市販のソーラー・チャージャーのバッテリーは容量が小さいんだ。1000 mAhくらいしかない。
今回使用する充電式電池だけど、僕のお気に入りはニッケル水素の単3電池。どこにでもあるし、安くて信頼できる。君の家にも転がってるんじゃないかな。今回はふたつ使うから容量はだいたい2000~3000 mAhくらい。2セット並列に繋げば4000~6000 mAhにブーストアップできる。
充電式単3電池のもうひとつの利点は、取り外せること。急いでる時はソーラー充電を待たずに、取り外して充電するか、新しい電池に取り替えることができるんだ。
なるべく安いのを見つけよう。
Step 4 ソーラーパネルを選ぼう
単3電池ふたつの出力は2.4Vになるから、充電に必要な電圧を賄うには、最低でも3~4Vのソーラーパネルが必要。ソーラーパネルの電圧が高ければ高いほど、少ない光で充電できるようになる。
今回はアルトイズの缶に入るサイズにしなきゃならないから、あまり大きなものは使えない。僕はアルトイズの缶にぴったり収まる4Vのソーラーパネルを見つけることができた。
そりゃソーラーパネルは大きいほうがいいに決まってるけど、缶に収まらないからね。
小さなソーラーパネルをつなげて使うこともできるよ。例えば2Vのパネルはebayでとても安く手に入るから、それを直列につなげて4Vにしたっていいんだ。
ニッケル水素電池を充電するときは、一度に容量の10%以上を放り込まないようにしなきゃならない。例えば電池の容量が2000 mAhだとしたら、ソーラーパネルからの入力は200 mAh以下の抑えておく必要がある。巨大なソーラーパネルを使うつもりでもなければ、普通は問題にならないけど、一応覚えておこう。
アルトイズの缶を使わないのなら、でっかいソーラーパネルであれこれ試すのもいい。
Step 5 芯線を剥く
まず電池ボックスの電線をだいたい1/3くらいに切って、ワイヤーストリッパーで先端の芯線を剥いておく。
次に電線を8インチくらいに切って、こちらの芯線も剥く。
終わり!
Step 6 ソーラーパネルのはんだ付け
さっき切った8インチの電線を一本ダイオードに巻きつける。ダイオードをよく見て欲しい。黒い線があるはずだ。こっちがマイナス極だ。こっち側に巻きつけるんだ。
巻き終わったらはんだ付けをしよう。
次にダイオードのプラス極側をソーラーパネルのプラス極にはんだ付けする。
2本目の電線はマイナス極に。
Step 7 ねじり接続
電池ボックスの赤い電線(プラス)と、ソーラーパネルにつないだプラス側の電線をねじり接続する。
次に電池ボックスの黒い電線(マイナス)と、ソーラーパネルのマイナス側の電線をねじり接続。
ハンダ付けはしないこと。本当に。お茶でも飲んでリラックスしよう。
Step 8 回路のはんだ付け
今回最大の難関がここ。
回路をよく見て欲しい。プラス(+)極とマイナス(-)極が見つけられるはずだ。電池用の出っ張りを探すといい。
出っ張りを取る必要はない。そのままほうっておいて大丈夫。簡単に取れちゃうし、多少省スペースにも貢献するけどね。
見つかったら、マイナス極にマイナス側の電線のねじり接続した部分を、プラス極にプラス側電線のねじり接続した部分をはんだ付けする。
たいていの人は、はんだを多く使いすぎて失敗することが多い。ここではんだの使い方をおさらいしておこう。
まず、はんだごてを電線にあてて5秒くらい待つ。そして電線にはんだをあてるんだ。はんだをはんだごてに直接あてないように。はんだが溶けるくらいに電線を熱すればいい。
電線を固定するのにたくさんのはんだは必要ないよ。ほんのちょっとでいい。
Step 9 絶縁テープでパーツの仕上げ
配線は終わり。あとは絶縁テープで仕上げていこう。
まずはソーラーパネルから。余計なダイオードや電線は切ってしまおう。
ブリキ缶を使うんだったら、回路を置く場所をしっかり絶縁しておこう。ブリキにあたってショートするかもしれないからね。
右上あたりが回路を置くのにちょうどいいスポットだ。
Step 10 ホットグルーで組立て
でもちょっと待った! 接着しちゃう前に機能するか確かめておいたほうがいい。電池を入れてちゃんと充電できるか確認しよう。
缶の左端にホットグルーを着けて、電池ボックスを固定する。
電池は必ず取り外しておくこと! 電池も接着されてしまうからね。
次に回路を置く場所にホットグルーを着けて、上から回路を押し付ける。缶のなるべく隅にしておいたほうがいい。
グルーが固まったら、格納式のケーブルが外れないように固定しよう。僕はいつも缶の隅にケーブルを押し付けてホットグルーで固定している。何かの拍子に抜け落ちないように。
固まったら完成。
Step 11 使う前に
さて完成したら、使い出す前に2, 3やっておくことがある。
まず電池に充電しよう。太陽光を使ってもいいし、コンセントから充電してもいい。
どうやらiPhoneは、電池の残量が少ないと互換性のエラーが出て充電できないようなんだ。ちゃんと充電しておけばいいだけなんだけど。
次に全てがきちんと缶に収まるか確認しよう。うまくできていれば格納式ケーブルは缶の底にきれいに入るし、ソーラーパネルもきちっと収まるはず。
もしソーラーパネルが入りづらいようなら時計回りに回してみよう。電線がまとまって収まりやすくなるはず。
ちょっときつめだけど、大丈夫。ちゃんと収まるよ。
もしうまくiPhoneに充電できないときは、普通の電池を使って試してみよう。それで充電できるようなら単に電池の残量が足りないだけだということだ。ついでに、なにかピンチのときは、普通の電池を入れればiPhoneを充電できるということを覚えておこう。夜中にゾンビに襲われたりしたときのために。
Step 12 完成!
とまぁこれだけなんだ。スーパーで買うパイだって、作り方を知らないだけで、ほんとうは簡単なんだよ。
残念ながら、電池を使わずにソーラーパネルから直接充電することはできないんだ。パネルが小さすぎて十分な電流をおこせないからね。
自作に挑戦したい人は僕のサイトでキットの販売もしているよ。
ちっちゃなソーラーパネルと電池があれば、こんなこともできるんだよ。贈り物にも悪くないしね。
クリスマスのお祝いは25日から大晦日まで続きます。
街の狂騒から少しだけ距離をおいて、暖かい部屋で静かに作業をしながら、この一年と、来るべき未来について思いを馳せるのも悪くないかもしれません。
Source: Brown Dog Gadgets Via Treehugger