貧困・奴隷状態からの自立を紡ぐ、現代のチャルカ。


非暴力・無抵抗主義を掲げ、インドを独立へと導いたガンジー。
彼はインド人の貧困と奴隷状態の原因のひとつは、イギリスの持ち込んだ近代機械文明を受け入れてしまったことだと考えていました。そして近代機械文明に頼らない独立した社会を築くため、運動のシンボルとして、かつ実際に人々が糧を得る手段として、インドの伝統的な手紡ぎ車、Charkha(チャルカ)を掲げていました。

In my dream, in my sleep, while eating, I think of the spinning wheel. The spinning wheel is my sword. To me it is the symbol of India’s liberty. = 物思うときも、まどろみの最中も、食事中も、私は紡ぎ車を回すことを考えている。紡ぎ車を回すことが私の“剣”なのだ。それは私にとってインドの自由のシンボルなのだ。
~Mahatma Gandhi

その後、ガンジーは暗殺され、インドは独立しましたが、ガンジーの思いとは裏腹にインドは近代機械文明を受け入れて経済的な大発展を遂げてきました。そして貧困が多くの人を苦しめている状況が解消されることはありませんでした。

RS Hiremath氏が設計したe-charkhaは、糸を紡ぎ出すだけではなく、わずかではありますが、糸車を回す人力の一部から発電することができる、現代のチャルカです。

RS pHiremath氏とe-charkha。底の台の部分にはメインテナンス・フリーのインバータ兼、鉛バッテリーが入っています。

e-charkhaはおよそ6~9ワットの発電が可能で、2時間ほど回すだけで付属のLEDライトを6~7時間点灯するのに十分な電力を蓄えられます。今までのように暗くて有害なケロシン・ランプを使わずに夜間の作業が続けられるため収入アップが可能で、しかもランプの燃料費や、喉や肺などの健康障害の治療費を抑えることができます。

e-charkhaの価格は200米ドルほどですが、現在はインド政府によるFunds for Regeneration of Traditional Industries(伝統的工業復興基金)というプログラムによって、無償提供されています。


Source: Inhabitat

2009/04/19 by Tate Slow
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